「つ、辻村さんおはよう」



「おはよー」



「おはよーっす!葉月」



「おはよー」



学校の下駄箱で靴を履き替えていると男たちが挨拶してくる。

あたしはナルシではないけれど、モテる方だと思う。

でもみんな、あたしの顔だけ見て寄ってくる。

今まで中身を見てくれる人なんていなかった。

見た目とは違って、あたしは結構男っぽいし、言葉遣いだってよくない。

昔から週1くらいで告られてたし、何十回彼氏もいた。

でも、春斗先輩に出会ってから、あたしは一切彼氏を作らなかった。



「あっ!葉月ちゃん、おはよ」



後ろから声をかけられて振り向くと、なんと春斗先輩がいた。



「はっ春斗先輩!?おおおおはようございます!」



いきなりの先輩の登場にかなりビビッた。

先輩はサッカー部の朝練だったらしく、シャワーを浴びたあとなのか、少し濡れた髪にほのかにシャンプーの匂いがしてなんかエロかった。

先輩と一緒の高校になって、最近よく話すようになった。

春斗先輩と高岡先輩は仲が良い。

だから高岡先輩と仲が良い澪と一緒にいると、会う機会も多くなった。

料理部で作ったお菓子をあげたり、廊下で会うと話したりした。

でも朝から会って、しかも向こうから挨拶してくれるなんて初めてだった。