「お前…俺の死んだ妹に似てる…」
静かにそう言った。
「妹…さん?亡くなったの?」
「あぁ、3年前にな。もともと体が弱かったんだ。」
そう言うとゆっくりと俯いた。
悲しそうな横顔を見ていたら、あたしまで悲しくなってきた。
きっと、田端さんはその妹さんが大好きだったのだろう。
気づくとあたしは田端さんの手をギュッと握っていた。
田端さんはビックリしたように目を見開いてあたしを見た。
「う、うまく言えないけど…。」
あたしは田端さんの手をさらに強く握った。
「妹さん、こんなに自分を思ってくれているお兄ちゃんがいて、幸せだったと思う。」
「…」
「あたしには…そんな風に思ってくれる家族、いなかった…」
一瞬昔を思い出しそうになって、苦しくなった。
また、泣けてきた。
涙が頬を滑って行く。
すると、田端さんの指が、あたしの涙をすくった。

