俺には、2つ下の紗枝(サエ)という妹がいる。

いや、もう『いた』か。

俺の妹は病弱で、昔から入退院を繰り返していた。



「おにぃちゃん!今日も学校で喧嘩したんだって?」



紗枝がケラケラと笑いながら俺に聞いてきた。

俺は昔から不良ってもんに憧れて、中学に入ってそういうやつらとつるむようになった。

そして、今俺は中学1年で妹は小学5年生。

妹はその年の夏休み、また入院をしていた。



「あぁ。ちょっとな」



「ねぇ、また喧嘩の話ししてよ」



紗枝はニコニコと笑って言った。



「ん?いいぜ」



俺がベッドの近くにあった椅子に腰掛けたとき、コンコンとノックの音が聞こえた。



「紗枝ちゃん?入っていい?」



女の声がした。

紗枝の友達か?そう思ってドアの方を見つめた。



「うん!いいよ!」



紗枝がそう言うとドアがガラガラと開いた。