「…」 「佐伯」 いきなり名前を呼ばれた。 あたしは田端を見た。 「なんで抵抗しない?」 そんな質問をされた。 なんでって…。 「もう…諦めたから…」 だって、あたしやられちゃうんでしょ? 抵抗したって、逆に殴られたりするかもしれない。 だったら、このまま…。 すると、田端は口を開いた。 「俺は、諦めるヤツは…嫌いだ」 そう言って田端は、あたしから目線を外して、窓の外を見つめた。 外は今だに雨がザーザーと降っていた。