吉井先輩が高岡先輩に告白しているのを見てしまった次の日の昼休み、吉井先輩にメールで呼ばれて、あたしは調理室に来ていた。



「佐伯さん、昨日はゴメンね。ビックリしたでしょう?」



吉井先輩は申し訳なさそうにあたしに謝ってきた。



「そ、そんな!!あたしこそすいません。あんなとこにいて…」



あれは100%あたしの方が悪いと思う。

そう思ってあたしも謝った。



「いいのよ。それより圭と仲良いのね」



「そ、そんなこと…ないですよ…」



そうだ。

吉井先輩は高岡先輩のことが好きなんだ。

はい、仲良いですなんて言えるわけない。

そう思ってなんて言おうか困っていると、吉井先輩が口を開いた。



「私ね、もう諦めたから」



「え?」



「だから私、佐伯さんのこと応援するわね」



吉井先輩はそう言うとあたしの手をギュッと握った。



「なにかあったらいつでも相談に乗るから」



そう言って吉井先輩はニコッと笑った。

あたしの手を握ってくれている先輩の手はとても暖かかった。



「…はい。ありがとうございます」



あたしは吉井先輩の手をそっと握り返した。

あたしの周りの友達や先輩は良い人ばかりだなと改めて思った。