き、来た…。

入部1日目にして、来ちゃった…。

あこがれの神林 春斗(カンバヤシ ハルト)先輩。

春斗先輩を初めて見たのは小6の時。

3つ離れたお兄ちゃんに無理やり連れて行かれた中学のサッカーの試合。

お兄ちゃんもサッカーをやっていて、ライバルの中学の試合を見に行ったのだ。

そこでお兄ちゃんが要注意人物って言っていたのが1年のくせにレギュラーになった神林春斗。

もう一人他の中学でうまいヤツがいるとか言っていたが、それよりもあたしは神林春斗に釘付けだった。

キレイなフォーム。

正確なパス回し。

そして、整った顔。

それからあたしの中で神林春斗は憧れだった。

先輩の中学が試合ともあれば、お兄ちゃんを引っ張り出して追いかけた。

こっそり写真を撮って澪に見せたりもした。

カンペキな片思いだったけど、それもなかなか楽しかった。

先輩が立花高校にいるって知ったのは本当に偶然だった。

澪と玲次が受けるから、あたしも勉強した。

そして立花高校のオープンスクールに行ったときに見かけた。

運動場で部活をやっていたサッカー部の中に先輩がいた。

中学よりさらに大人っぽく男らしくかっこよくなってた。

あたしは、澪と玲次のため、そして先輩のために必死で勉強して立花に合格したのだ。

そしてそのあこがれの先輩が今目の前にいる。

ど、どうしよう。

あたし、絶対顔真っ赤だ。



その時、ふと右手が温かくなった。