ワタシの好きな男の名前ね、
久保新治、っていうんだ。

この世にはいない男。
ある小説の中に生きてるんだ。


中3のとき、おじいちゃんが危篤になって、
お母さんと病院に2日泊まった。

退屈でさ、
病院の本棚のすみっこにあった本、
借りて読んだ。

『潮騒(しおさい)』。
書いたのは、三島由紀夫ってヒト。


で、久保新治が好きになった。
おじいちゃんが亡くなった夕方に読みおえて、
ワタシなんだか元気が出てた。


小説家になれたらイイなと思った。

いまは、ぜんぜん違うことしてるけど。



それと、あした学校に行く。

ギリギリでも、卒業はしたいからね。
高校中退じゃ、息子がカワイソだろ。

ハハ、いないよ、まだ。
でもいつか、息子がほしい。