サトーはどっかの会社のエライさんなんだ。

年は、ワタシのモト父より20は老人。
背はワタシより低いし、無口でニコニコ笑う。

一種の珍獣。
で、なんていうの、お得意さん?


うちの両親は離婚して、いまは別の女、別の男と暮らしてる。

けっこう器用なんだな、異性交遊が。
前に「不純」がつくって。(笑)


サトーとは、もう30回くらい会ってるけど、
ホテルへは行かない。

1時間くらい食事して、1万円。


5回めくらいかな。ホテル行くか?って、きいてみた。
サトーは笑って首をふった。

ヘンなやつ。
インポ?


シートのままプリクラあげたら、喜んでさ、
5000円くれた。
お金くれる珍獣。


「サイナラ」

サトーがタクシーに乗った。


スパイスのきいたトマトソースの味が、
舌に残ってる。