「兄貴ー!どーせいるんだろ?バレバレだよ。」


がちゃ・・・・


斗真がいた。


「兄貴、あとはよろしく。俺、泣いてる女嫌いだから。」

「っ、てめー!好きな女泣かしといて!」


悠馬君が通り過ぎる時、斗真が胸ぐらをつかんでとめた。
すごく怒ってる斗真。初めて見た。
だけど・・・


「泣かしたのは兄貴だろ?なんで行くなってとめなかったわけ?」


え・・・・

なにがどうなってるの・・・・?


「あー、もー、・・・・二人とも鈍感すぎ。鈍いにもほどがあるよ!俺がせっかくここまでしたのにまだわかんねーの?二人で意気投合して屋上とか行くくせに。」



あ・・・悠馬君にはばれてたんだ。屋上にいたこと。
それに、斗真がすぐ近くにいることも気づいてたし、すごいね。
なんて感心してたら「5分だけ俺の部屋使っていいからさっさと付き合ってよね。」そういって出て行ってしまった。



・・・・気まずい雰囲気。





「・・・斗真、私ね。」

話さないとなにも始まらないよね。



「ずっと悠馬君を見ていたつもりだった。だって斗真は意地悪で、暴力的で、それに比べて悠馬君は優しいからずっとみていたいって思ってた。だけど・・・違ったの。悠馬君を見るようになったのも斗真がいたから・・・斗真がいなかったら悠馬君と話すこともなかったかもしれない・・・私・・・悠馬君より斗真を見てたんだ・・・だから私」

「まって」

「え・・・?」

「俺にも言わせて」

「・・・うん」


重い。って言われるのかな。
そんな感じがしていた。



「俺な、ほんとは、悠馬がコクったとき焦った。・・・先を越されたって。」


え・・・・
先を越された・・・・?