「綾香ー」

やっとのことで
激しく息切れしている俺は
敦志と敦哉の病室にたどり着いた

しかし

俺は

息をひそめることになる





綾香と敦志の姿を見て


敦志は

綾香のことを
震えながらも強く抱きしめ

キスをしていた



俺はその光景から逃げるように
病室のドアの影に隠れた


そのとき

俺は

一瞬

目を丸くした


敦哉の顔が目に入ったのだ




「敦志!!」

綾香の大きな声がまた病院に響く

しかし

さっきとは違う



甘い声


同時に足音が近づいてくる

俺はとっさに

「ルートン」

透明になって他からは見えなくなる魔法を使って隠れた



出てきそうになる涙をこらえるも

ポロポロと落ちてくるのは
大粒の雨

病室から聞こえてくる2人の会話を聞いて


また落ちた