兄貴…


この人は


本当に


俺を助けた


兄貴


山口敦志なのか?


あの


兄貴なのか



兄貴は

俺から全てを奪っていく


佳乃子も

綾香も



綾香は
真っ赤な顔をして
病室を出て行った


「兄貴!!」

俺は思わず
叫んでいた

綾香に聞こえていないか心配だったが
あの顔だ

どうせ聞こえない

俺の
心の声も聞こえないくらいだから

「敦哉!!
お前
起きていたのか!

………

見たのか」

「あぁ見たよ

兄貴の浮気っぷりをなぁ

佳乃子に言ってやる

これで
兄貴はおしまいだ

佳乃子も

綾香も

失う」

「はっ!
佳乃子!?
西園寺のことか?

西園寺のも見ていたのか…