どうやらそれは鞘に収まったままのロングソードらしく、手に取ると腰や足に多少ズシリとした重さを感じさせた。―何故、こんなものが?と思う間もなく再び先程一体と一本が飛び出してきた茂みがガサゴソと音を立てる。全員の視線を受け現れたのは少女と同い年くらいの少年だった。
「…あれ?」
少年は大きな瞳を数度瞬かせ辺りを見回すと地面に気絶し転がるロイヤーと少女の持つロングソードに目を向け微笑む。
「あー…良かった。見失ったかと思いましたよ」
少年は微笑んだまま茂みを抜け、まず地面に転がっているロイヤーを回収しゴム製の拘束具で手足を縛り腰からぶら下げた革袋に仕舞った。その後、少女の方へ近づき片手を差し出す。どうやらこのロングソードは少年のものらしく先程飛び出してきたロイヤーはこの少年から逃げていたようだ。
それにしてもいくらロイヤーが素早いからといって普通ロングソードを投げるなんてことするだろうか?少女は呆れ半分驚き半分で少年にロングソードを手渡そうとした。が、それは叶わず少女の視界を男の背中が遮った。
「お前ふざけるな!よくもやってくれたじゃねーか!」
「そうだそうだ、こっちは頭殺られてんだよ!」
「詫び入れな!五体満足で帰れると思うなよ、餓鬼が!」
どうやらそうこうしてるうちに先程までの出来事に驚きで固まっていた男の仲間がそれから解けたようで口々に凄みながら少年へと詰め寄る。もう少女の事など眼中にないようで先程の少女のように今度は少年が囲まれてしまった。少年はそれでも焦ることなくまるで面倒だとでもいうようにやれやれと肩を竦める。
「そうですねー御免なさい悪いと思ってマス」
「てっめえ!ナメてんのか!?」
「完全棒読みの上カタコトじゃねーか!」
一人が怒りに任せ少年の胸ぐらを掴み上げた。少年は目を閉じはあと溜息を吐くと次の瞬間少年に掴みかかっていた男は先程気絶して倒れたリーダー格の男の上に吹っ飛ばされ同じく気絶していた。一瞬の出来事に男達は理解が追い付いていないようで少年はそんな男達を目にも留まらぬ速さで次々に気絶させ一人目と同じようにリーダー格の男の上に積み重ねてく。
