「あっ、もうそろそろ帰る!今日は本当にお邪魔しましたっ」

「いいえ、私こそ何か引き止めちゃった感じでごめんね?」

…いっけない!
急いで帰らなきゃ、お母さんに怒られちゃう!

「…花」

「っえ…。水木君?!」

「花、一緒に帰ろう?」

夏と言っても、もう9月になるし、日が暮れてきたら冷えるのに、水木君は顔色一つ変えない。

「水木君、寒くないの?待っててなんて頼んで無いのに…」

「うん、頼まれてない。でも僕が花と一緒に帰りたかったから」

そんな嬉しそうに言われたら、寒さなんて吹き飛んでしまう…。

「じゃあ、帰ろっか」

「うん、もう秋になるね…」

「うん、そうだね…」

「花は、秋好き?」

水木君は凄くニコニコしてるのに、何で私は固まってるんだろう。
心では、水木君と帰れて凄く嬉しいのに…。
まだ何も知らないし、毎日帰りながら、こうやって話せたらいいな。

「…な、花っ?聞いてる?」

「へ?あっ!…ごめんねっ」

「大丈夫だよ、花は秋好き?」

「秋か…あんまり。私は春が好き!」

「やっぱりっ、僕も春が1番!」

春、水木君も好きなんだ…。