一瞬だったけど笑顔見れた。 貴重な貴重な、優くんの微笑み。 「愛莉!」 後ろから聞こえてきた麻依の声で我に戻った。 「足大丈夫?」 麻依はあたしの血が出てる足を見て息を切らしながら心配してくれている。 足の痛みなんかもうないよ。 優くんのことで頭がいっぱい。 その優くんはゆっくりと白い線を踏んでゴールしていた。 「…愛莉?」 「へ?あ、え…あ、うん!平気」 変な声を出してしまった。 気がつけば優くんのことを見つめている。 これって…