四月。
体育館の窓からは、色鮮やかな
桜の花びら達が踊っているのが見える。



【―――市原 ひなた】

『はい!』

自分の名前を呼ばれ
私は大きく返事をし、椅子から立ち上がった。


この春、中学校への入学式を迎えました。


シワひとつ付いていないブカブカの
紺色のセーラー服に

新入生であることを証明する
赤いラインの入った綺麗な上履き。


周りには自分と同じく緊張した
知らない顔がたくさん並んでいる。


キュッキュッ、と歩くたびに鳴る
体育館の音は私の心をわくわくさせた。