まひろがあのときのことを
ずっと考えていてくれたのかと思うと

わたしはそれだけで嬉しかった。


(やっと聞けた。まひろの声。)


そっと、携帯を閉じてまた布団にもぐった。



あのときのわたしは
確かに辛かった。悲しかった。

でも、それよりもとにかく幸せだった。


そして、確かにあなたを好きでした。


あなたを想っていた、あの三年間が
一気に頭によみがえる。



“あのとき―。”