『ありがとうまひろ。』


私はまひろをもう好きじゃない。
あんなの何年も前の話。
周りから見れば、中学生の可愛い恋愛ごっこに過ぎない。


でも、何故だろう。
この人を思い出すと調子が狂う。




「俺、実はお前に謝りたくて。」


『え…?』


「あのときのこと。」

あのときのこと、と言ったら
あのときのことしかないんだ。


『どうして?』


私の声震えていないだろうか。

「市原は、今更何だよって
思うかもしれない。
でもずっと謝りたかった。
お前のことたくさん悲しませたし。」


まひろの声が緊張しているのがわかる。
まひろもずっと
想っていてくれてたのかな。


「許してほしい。」


その一言がわたしの心に響いた。