まんなかロックオン



二年の選手が、さすがの速さでゴール下へ攻め込んでいく。

しかし、その勢いをまた二年の選手が止める。パスを出したが、それをコウがカットした。

一気にコウが攻めていく。試合を見ていた他の女子が、「おおー」と声を上げた。

リズム良く身体を動かし、スリーポイントのラインへ立つ。そして、打った。


…目が、離せない。瞳がどこまでも、コウを追う。

バッシュのキュっという音と、ボールがゴールへ入る音が、こだました。

近くから、女子たちのわぁっという声が聞こえる。


…錯覚だ、錯覚だ。そう思うのに、いつだって瞳はコウを追っていて。

むかつく、むかつく。なんで私が、こんな。コウのことばっか考えて、視界に入れなきゃいけないの。

むかむか、もやもやとした気持ちが沸き起こって、私は無理矢理男子の試合から目をそらした。

おとといから、こんな気持ちばっかりだ。

私は眉間にシワを寄せながら、上体起こしをさらに五十回行った。