苦しくて、顔を伏せてぐっと目をつぶる。なんで、なんで。 「るな」 聞こえてる。ちゃんと聞こえてるから。分かってる。ごめんなさい。待って、泣きやむから。優しく名前を呼ぶ声に、返事ができず、でも聞こえているとうなずく。 、と。陽太の気配が動いた、と思えば。ぎゅっと、温かいものに包まれた。ぽんぽん。片手は、後頭部。 もう片方は背中を抱きしめながら撫でてくれている。 「大丈夫。大丈夫だよ」