一口一口、丁寧に口に運んでいく。
ゆっくり食べているように見えるのに、やっぱり男性だからか。話の間に質問や相槌をしてくれているにもかかわらず、食べるペースは早かった。
これもしゃべっている私と比べてだけれど。なるべく同時に終わるように、と食べる方にも意識を向けながら、思い出しつつ話を続ける。
「少し話をして、それから昼寝してました」
これは学校を出てからの話だ。
家に帰って、病院に行くまでの間、家でぼうっとしていたらいつの間にか寝てた。
「それから、大切な人に会いに行って、帰ってきました」
「そう。今日は大切な人に2人も会ってきたんだね」
うなずけば、良かったねと言われた。
誰と、とかどこで、なんて聞いてこないところが、陽太の優しいところだと思う。
「・・・不思議」



