この人の前では人間、ではないから。 しばらく黙ってなでられた後、目が覚めたのを装って体を起こした。 いつまでも横になっていたい・・・・・・ 心地よい時間の中にいたかった。だけど、ふと陽太のことを考えて。仕事をして、帰ってきて疲れてるはず。 お腹も、空いているはず。 先に食べることもせず、私を起こそうともしない陽太に申し訳なさが出てきた。 体を起こせば、何事も無かったかのように手はすぐに引っ込んで、視線が合いにっこり笑った陽太は立ち上がる。 「・・・ご飯、できましたよ」