それでも覚えていた。
若い先生がキャーキャー言われるのはもうあたりまえのことで。
クラスでも毎日名前が出てるくらいだったから。覚える気が無くても頭には記憶として残ってしまう。
「知ってるって…そりゃ話は聞くけど。何のこのこ来てんの!?」
えっ、と思えば「見られたらどうすんの」と腕を引っ張られる。窓から引きはがされ、カーテンを閉められた。
「向こうは?あんたがここの生徒だって知ってるの?」
「…知らないでしょ。猫だと思ってんだから」
猫が学校に通ってるなんて、それこそおかしな話だ。
「やっぱり、あの人だったんだね」



