野良猫に 名前すらあるかわかんないけど。 でも、素直に自分の本当の名前を教えてしまったのは、きっと。 この人の口から私の名前が聞きたかったから。 「……るな、か。いい名前だね」 るな。小さくもう一度復唱してにっこりと笑う早川さんに、じんわりと胸が熱くなった。 名前を褒められて、 なぜだか、少し泣きそうになった。 名前を褒められたのはいつぶりだろうか。 名前を褒められると、付けたのは親なんだけど、自分自身を褒められたような気がして。