君が嘘をついた理由。



コップに手を添えれば、


中のミルクの熱さを反映するように熱を持っていて。

一瞬で手を放す。熱かった。


顔をしかめた私に気付いたのか、男はあっと向かい側で声をこぼす。



「すみません、忘れてました、猫舌……!」


申し訳なさそうに眉を下げた男。そして、すぐに腰を上げる。


「氷入れてちょっと冷ましましょうか?」


「…いい、いいです」

すぐに飲まなくても、少し待てばいい。言えば、男は黙って腰を下ろす。


そうか、猫舌か。


それは私にも気付いてなかった。ただ、触って熱いなって思っただけ。


もともと猫舌だっただけなのだ。パタパタと手でホットミルクを仰いで見ながら、男を見る。