実際私は読めるんだし。 頷けば、そうですか、と言って男は離れた。 日本史…興味がないってことはないけれど、ざっくりとしたことしか覚えてない。 年号、とか、大きな事件の名前とかくらいしか。気が向いたら読めばいいか。抜き出した本を元に戻す。 そして、 机に置かれたコップに近づく。 コップに顔を近づければ、ふわっと香る、温かいミルクの匂い。 夏が過ぎたといってもまだ全然暑い、 ……クーラーを入れているこの部屋では ちょっと場違いのような気がするけれど。