「―――見つけた!」


凛とした迷いのない声はそれほど大きくなかったはず。

だけど、


静まり返った住宅街には十分なほどよく通って。


急に聞こえた声に驚いて体を跳ねらせたのと


引っ張られて体が一、二歩そちらへ動いたのは同時だった。

そして、瞬間的に耳に届いた声は明らかに男の人のもので。引っ張られて、あぁ、私に向けて言ったんだ。と反射的に思った。

そしてその次には、

男が発した言葉の意味を理解するよりも先に、最近聞いたばかりの、ここら辺での不審者情報の方が先に脳裏に浮かんだ。


20代の若い男に、女性が物陰に連れ込まれて

暴行を受けるというもの。