「そう。ずっと食べたかったんです」 ぐつぐつと煮える鍋と カセットコンロを机の真ん中に置いて、 手を合わせる。 ん?と陽太をみると、すきやきを眺めながら。 「すきやきって、一人じゃ寂しいでしょ?」 「・・・・・・」 「るなと食べたいもの、まだまだいっばいあるんだ。しばらくはまたこっちに帰ってきてね」 にっこり笑って、食べよう、と私の取り皿に具を入れてくれる。 陽太は、優しいけど、 残酷かもしれない。