「すぐじゃないですけど。徐々に退去をお願いして、完全に退去しなきゃいけないのは二年後だったかな?」
えっーとと思い出している陽太。
この家、なくなっちゃうんだ・・・。
「聞いてみたら、どうせ取り壊すから、いいですよーってあっさりOKが出て。近所から苦情が来たらどうにかしないといけないみたいだけど。この子、大人しいし。大きな声で泣いたりしないから」
「賢いんだねー」
撫でれば、目を細めてくれる。
「るなにもなついたみたいだね」
よかった、と笑う陽太。あぁ、これだけでもう十分だ。
具材を切る陽太に手伝おうかと声をかければ、もう少しで終わるからゆっくりしてて、と言われた。
ゆっくりと、まだぎこちないけど包丁を使っていた。
部屋の隅に増えている猫用のグッズ。それでじゃれて遊んでいると、すぐにご飯が出てきた。
「すきやきだ!」



