君が嘘をついた理由。


不意打ちで引っ張られるがまま後ろに下がった陽太にぶつかる体。声を上げた陽太に、私はたった少しの距離なのにあがった息をのみこむ。


顔を上げた先には、ぎょっと目を見開いて私を見下ろす陽太。


ドキドキしてるのは、走ったからだろうか。それとも、陽太の視界に私が入ってるからだろうか。落ち着け、息。


「……るな?」

久しぶりに聞いた、好きな人の声。


変わらず、私の名前を呼んでくれることに、酸素不足とはまた違う胸の苦しさに襲われる。


「っ、ハァ、ハァ、あの、」