ホッと息を吐く。
帰ろうとすれば男に捕まり。
ぶっとんだ話を聞かされ空腹なんてどこかへ飛んで行ってしまった。
「あ、っと。ミルクがいいですかね?」
いつの間にか男は
部屋の中に区切られてあるキッチンスペースにある冷蔵庫へと移動していた。私が返事をする前に冷蔵庫の中の牛乳を取り出し、
良かった、あったとつぶやく。
と、くるっと振り返ってかちあう視線。
ん、と持っている牛乳をわずかに上に持ち上げられて、
さっきと同じようにもう一度頷く。
お腹は空いてないし、この際なんでもいい。
「待っててくださいね」
頷いた私を見て、男は満足そうな顔をして
私の”餌”を作り始めた。



