「……他にケガはないですか?」 腕の包帯を巻き終えた男は私に問う。他に…ケガ。 座ったままの状態で視線を自分の体に這わしてみてみるけれど、 腕以外にケガした所は見えない。 足も、普通にここまで歩いてこれたんだ。くじいてない。大丈夫。 頭を下に向けて頷けば、男はそう、良かったと言って、道具を棚にしまった。 「お腹は空いていませんか?」 聞かれて、今度は自分のお腹と相談する。 正直、ここに来るまでの間は空いていた、と思う。うん、空いていた。