―――――私があの家に帰ってこなくなって、
陽太は探してくれたのだろうか。
たまに遠くから見かける陽太は
いつもとかわらず生徒に優しい笑顔を振りまいていた。
「・・・どちらかというと、あんたの方が寂しがってない?」
「寂しいよ。めちゃくちゃ寂しい」
「ならずっといればよかったのに」
机でうなだれる私に
呆れた溜息を降らせる理香。
私だってしたかった。
だけど。
「いつばれてもおかしくなかったんだもん」
家にあの先生がきたとき。
陽太が断って大人しく帰ってくれたから良かったけれど、もし強引に上がり込まれていたら。



