「・・・よし、と」

私も行かないと。

もともと荷物はなかったから、そのまま出ていける。

「・・・お世話に、なりました」


本当に。ありがとう。ぽつり、落とした言葉は誰にも聞かれることなく消えていく。


外に出れば、つん、とする寒さが身を包んで。ふっとでた息は、白かった。・・・鍵、返さないと。


ポストに入れようとすると。


ーーーーーーーーあ。

ふと、視界に入ったそれ。


・・・思わず、笑みがこぼれた。


きっと、これで優太は寂しくない。