君が嘘をついた理由。



話から察するにこの人は私を黒猫だと思っているらしい。



黒猫が人間に化けるなんてそんな、アホみたいな話あるわけないのに。


本気で言っているようにしか聞こえないのがまた怖い。

たまたまその逃げたらしい野良猫と

私が同じ場所を怪我していたからってそんな。



ただの偶然だ。本当に、偶然。


それだけで、

猫と私が同一人物だとは、普通の人なら考えもしないだろう。


「化けるなんてすごいですね。でもすぐに分かりましたよ?怪我してたのもあるけど、その恰好」


ガーゼを持った男は私の傷口に当ててサイズを確かめている。