君が嘘をついた理由。




普通に歩いていた私に、


メタボだと思われるベルトに肉が乗ったおじさんがぶつかってきた為に転び方は悲惨だった。


横に吹っ飛ばされるように地面へと倒れて。


咄嗟に出した腕が、ズッとコンクリートと擦れた音もはっきりと聞こえた。そしてその後にはおかしな体勢で転んだせいで、あちこち激痛が走ってきて。


痛みに顔をしかめていれば、すぐに上から酔っ払いの罵声が聞こえた。


「危ねぇじゃねぇか!」


呂律は回っていない。が、叫んだ声はとても大きくて。かろうじて聞き取れた。


いきなり大声で怒鳴るので通行人は一瞬足を止めてこちらを見る。


恥ずかしいとか、


そんな気持ちは全く無かった。

・・・危ないのはどっちなのよ。