ごしごしと転んだ拍子に地面で汚れたのだろう砂や土を 傷ギリギリまで拭っている腕は筋肉がしっかりとついていて、血管も何本か浮き出ている。 今時の20代って感じだ。そこら辺ですれ違う人となんら変わりはない。 普通の人。特別かっこよくもなく、普通の。だけど、近くで見れば顔は整っていて綺麗だ、と思った。 「ケンカでもしたの?」 タオルから消毒液とコットンへと持ち替えた男は ちらっと私を見て質問を落とす。