「久しぶりに誰かの手料理を食べました。今まで食べた中で一番美味しいです」

「それは・・・」

言い過ぎだろう。

だけど、


素直にありがとうと言っておく。


「いつも自分で作って自分で食べてるから分からないんですよね。るなの料理を食べて、自分はまだまだだなって気づきました」


「そんなことないよ。とっても美味しかった」

「ふふ。ありがとう」

私だってそうだ。

自分で作ったものを自分で食べる毎日だった。


誰か、他人に作ってあげることは初めて。


家に帰れば料理が用意されてあるなんてこと、久しぶりだった。

自分の食欲を満たすためでなく、

誰かのために作る

という目的でする料理は、楽しかった。


きっと陽太は、美味しくなくても美味しいって言ってくれて、全部食べてくれるんだろうと思うけれど。