君が嘘をついた理由。


どれだけ経ったのだろう。ぎゅっとしがみついていたため、Tシャツの瞳が当たっていた部分は濡れてびしょびしょだ。


気持ち悪いだろう。

ご飯食べてる途中だったのに。ずっと鼻をすすり、押し付けていた顔を上げる。


「ごめんなさい、ご飯……、」

「気にしなくていいから」


後頭部に置かれていた手に力が入り、また押し付けられる。


抗わずに、そのまま預けた。



「……優しい子だね、君は」

ぽつり、ふうっと吐かれた息のあと、陽太の言葉が降ってきた。


「普通の子はそんなこと思わないよ」

だから、優しい子だと陽太は言う。