ギロリと蓮を睨むと、蓮は大人しくなった。


そして、次の瞬間には真っ赤になっていた。


「お、おまっ……お前なんで髪長ぇんだよ!」

「カツラが外れたからだけど」

冷静に返すあたし。

てか、何それだけでどもってるワケ?


「意味わかんない」

「桃は知らなくていいよ。……ね?」

「え、うん……」

何故かあっくんにものすごい笑顔で言われた。


「で、そんなことより、なんで蓮がここにいんの?」

「あぁ……それな。たまたまここら辺歩いてたら、走ってくるお前らを見つけて。なんか切羽詰まってる感じがしたから、とりあえず空き教室に突っ込んだってワケ。……ほんとは、少し違うけど……ボソッ」

「ふぅん。で、少し違うのはなんで?」

「い、言えるかバカヤローーっ!!」

「はあっ!?あんたって本っ当意味不明!」


少し赤くなりながら怒る蓮を見て、顔をしかめた。

あっくんはそんなあたしと蓮を見て、面白そうにニヤニヤしていた。

そんな顔も様になるなんて、ほんと、イケメンって特だよね。


「で。お前らはなんで追われてたんだよ?」

「……言わなきゃダメ?」

「…………………………ダメ」


え、なにその溜めは。

ちょう気になるんですけど。


「溜め多くない?」

「多くない」

「そう……」


絶対に多かったけどね。

まあいいや。

「で、なんで追われてたんだ?」

「…………あっくん、よろしく~」

「はあ…しょうがないなぁ。あのね、実はね、桃の男装がバレちゃったんだよね。だから追われてたんだよ。ね、桃」

「そーそー。そうなんだよねー」

「ふぅん。……って、はあっ!?それ、一大事じゃねぇかよ!なんでそんなに軽いんだよ!?」

蓮が大声で叫ぶ。

「……うっせぇな。黙れヘンタイ赤面男」

「ほんと。静かにしてよ。僕たち、特に桃が追われてるって今の話で分かったでしょ。神宮がそんなにうるさかったら、僕たちがここにいるのバレちゃうじゃん。バカなの?」

あっくんが冷たい視線を蓮に送る。

おぉ……絶対零度。

あんな視線をあっくんみたいなキレイな顔した人に送られたら、絶対に氷付けになってしまう。

現に今、蓮が氷付けになってるし。

ていうか、思ったんだけど、あっくんってなんか蓮に冷たくない?

まぁどうでもいいけどさ。