まだついてくる野次馬たち。

あたしが悪いんだけど……あたしが悪いんだけど!

「鬱陶しんだコノヤローー!!」

野次馬に向かってキレるあたし。

だが、野次馬は気にも止めていないようだった。

「桃うるさいっ」

「うぅ~っ」

だってぇー!

アイツらが追って来るのが悪いんだぁーーっ

断じてあたしが悪いわけではない(責任転換☆)。

「次もまた右!」

「はいっ」

またあっくんが角を曲がる。

あたしもそれについて行きながら、角を曲がったところで誰かにあっくんに掴まれてないほうの手を引っ張られた。

ぐらっ……と体が傾いて、どこかの空き教室に入る。

もちろん、あたしを引っ張っていたあっくんも空き教室の中だ。

そして、あたしを引っ張った誰かが急いで空き教室のドアを閉めた。

野次馬たちが、あたしたちに気づかずに空き教室を通りすぎていく。


「…………ほっ。撒けたみたい……」


よかった……と胸を撫で下ろそうとするが、両方とも掴まれていて、手が使えない。


ていうか、あたしたちを助けてくれた人って……


バッと顔をあげると、ゴンッ……と鈍い音がした。


「……ッいったあ~!」

「ってぇ……」

あたしと誰かの声が被る。

どうやら頭をぶつけたのはあっくんではなく、あたしたちを助けてくれた人の方らしい。

でも、この声って……

もう一度頭をぶつけないように、今度はゆっくりと顔をあげる。


そこには、痛みで悶えている蓮がいた。


「、蓮!?」

「んだよ石頭!」


あたしを見た蓮の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。


そんなに痛かったんだ……


なんとなく申し訳なくなりがら、なんでここに蓮がいるのかという疑問が浮かんでくる。

「な、なんでこんなとこにいるワケ?」

「あぁ?いちゃ悪いのかよ」

「そんなことは言ってないでしょ。黙って答えなさいよ被害妄想男」