バタバタバタバタッ……



只今あたくし、天野 桃は、あっくんに腕を引っ張られて


逃走中♪


……なーんてふざけてる暇はない。

「ど、どうしようあっくん!追いかけて来るよ!?」

「いいから!桃は走ることに集中して!!」

「り、了解です!」


あっくんに腕を引っ張られながら、必死に足を動かす。

てか、あっくん足はやっ!

今関係ないけどね!!


走りながら後ろを振り向いて、
追手が来ていないかを確かめる。


……うわぁ。

うじゃうじゃいる……キモッ!


「桃!後ろ向かないっ」

「は、はいっ!」

あっくんの余裕のない声があたしを急かす。

………どうしてあたしとあっくんが追われているかというと(主にあたし)、


あたしの男装が、


バレちゃったからなんです。



しかも、あたしのドジで。


あり得ない……マジあり得ない。これほどまでに自分を呪ったことがあっただろうか。


いや、ない。


「右にいくよ!」

「オッケー!」

今こうやってあっくんを走らせてるのもあたしのせいだし。
あっくん関係ないのに。

ゴメンあっくん。


ていうか、

「いつまで走ってればいいのぉ~!?」