お、お化け屋敷だけは回避しなければっ……!!

「ちょっ、蓮!違うとこ!違うとこ行こう!!ほ、ほらっ!あそこなんかどう!?」

あたしは必死に蓮の興味をお化け屋敷から反らそうとする。

「えーヤダ。オレ、お化け屋敷がいい」

「あたしだっていやだ!お化け屋敷なんか絶対嫌!違うとこなら一緒に回ってあげるから!」

「だめ。お化け屋敷」

「だめじゃねぇぇぇ!お化け屋敷は嫌だっつってんだよ!」

あたしは半ばキレながら、言う。

「はあ?グダグダ言ってんじゃねー。これは決定事項なんだよ」

「そんなの、誰が決めたんだよ!」

「オレだけど。つうか奴隷がご主人様の命令を逆らうんじゃねえよ」

「あたしは奴隷じゃ」

「奴隷だよなあ?天野くん?」

「……」


蓮がものすごく黒い笑顔で言ってくる。

コイツ……死ね死ね言われたの根に持ってやがるな!

だからって、ここで奴隷出さなくてもいいだろうが!


「離せっ!」

「うるせえな。ちょっと静かにしろよな」

お前にだけは言われたくねーよ!
いつもべちゃくちゃうるさいくせに!!

蓮と言い合いしてるうちにも、どんどんお化け屋敷に近づいていく。

あたしはじたばたしながら、蓮の手を離そうと奮闘する。