女装男子VS男装女子。


「あーまーのー」


「……チッ。なに」

天野はものすごく嫌そうな顔で言った。


……オイ今コイツ舌打ちしなかったか?


コノヤロウ。

可愛いのは見た目だけか。

「休憩。入っていいって」

「、本当?!」


休憩という言葉を聞くと、天野は目を光らせた。


お、おお……



そんなに嬉しいのか、休憩。
それとも……

メイド服で仕事しなくていいからなのか…。


たぶん…後者のほうだと思うけど。


「やったー休憩休憩ー♪」


るんるん、と体を揺らしながら天野は鼻歌を歌う。

「……」

その鼻歌が微妙に音程がズレていて、笑える。

オレは吹き出しそうになるのをなんとかこらえながら、


「……な、天野」

「なに?蓮」


ふむ。

どうやら天野は機嫌がいいらしい。
まあ、休憩だからな。


「一緒に文化祭、まわらねーか?」

「うん、まわらない」

「よし、じゃあさっそく行こうぜ…って!まわらねーのかよ!」


当然、yesと返ってくると思い込んでいたオレは、少し大きな声になる。


天野は何言ってんの?って感じで、

「当たり前じゃん」

と言った。


いや……いやいやいやいや!

当たり前じゃん、じゃねーよ!
何勝手に決めつけちゃってんの!?

しかもそんな当然でしょみたいな顔すんのやめてくれる!?