「神宮様っ!すごい人気ですねぇ!!」
執事の格好をした女がそう言ってくる。
フンッ、当たり前だろーが。
このオレだぞ?
と、言うことは口に出さず、「そうだね」と営業スマイルで言っておいた。
「あ、そうだ。神宮様、休憩とっていいですよ」
「え、本当?ありがとう。ついでに聞くんだけど、天野って休憩まだ?」
「んーと、あぁまだですね」
「そっか。じゃあさ、天野も一緒に休憩にしてくれない?」
「え!?む、無理ですよ!神宮様と天野くんが抜けたらお客が減るじゃないですかっ。それにわ、私に言っても意味ないです!実行委員の人に言わないとっ」
女はあたふたしながらオレの要望を断る。
チッ、とオレは心の中で舌打ちをした。
だがこのオレがそんなことで諦めるはずがない。
オレは女の顔を覗きこむようにして、「お願い。どうしても天野も一緒に休憩にしてほしいんだ。ダメ?」と言った。
オレは小さいから(認めたくないけど)、オレよりも少し背の高い女からは、上目遣いに見えているはず。
オレの上目遣いをくらって、お願いを断る奴はいない。
もちろん女の答えは「は、はいぃっ!どうぞご一緒に休憩してください!!」だった。


