「……」
カーッと頬が赤くなっていくのがわかる。
……あっくんてばよく恥ずかしげもなくあんなこと言えるよね……。
あたしは赤い顔を隠すように頭をぶんぶん振ると、仕事をしようと歩き出す。
……が。
「……蓮。離せ」
蓮に腕を掴まれているため、前に進めない。
「嫌」
「はあ!?」
意味わかんねーよ!さっさと離せってば!!
あたしは蓮の手を離そうと奮闘する。
でも、結局離すことはできなかった。
あたしはあきらめ、蓮が離してくれるのをおとなしく待つ。
「なあ、」
「何?」
蓮の声に少し顔を上げる。
「……お前って、…五十嵐好きなの?」
「………………は?」
何でそういうことになるわけ?
「だって…。なんかくっついてたし」
「あれはあっくんが勝手にくっついてきただけだし」
つうかアンタに関係ないだろ。
あたしはそういうように蓮を見る。
「関係なくねぇよ!……す、好きな女が他の男と仲良くしてんの見て気にならねぇわけねぇだろ」
蓮はそう言うと、真っ赤になった。
……あ、そうか。
そう言えばあたし、コイツの好きな人なんだっけ。
あははははは、忘れてたわー。
心の中で蓮に気づかれないように笑う。
「……オイ。全部聞こえてんだよ」
低い声で言われた。
あらら。
……聞こえてましたかー。
「……あは」
とりあえず笑ってみる。
「あは、じゃねえ」
うん、まあ誤魔化されてくれるわけないよねぇー。


