「はあ……」


と、また一つ、ため息をはく。


あたし、今日だけでどのくらい幸せ逃がしたのかな。


とりあえず、今あたしが幸せじゃないってことは確かだけど。


はっ、とバカにしたように笑ってみると、なんだかさっき以上に悲しくなった。


それもこれも、ぜーんぶ蓮のせいよっ!

蓮が男女逆転なんて提案したからっ……!!



ひとりでぶつぶつ文句を言っていると、背後から誰かに抱き締められた。


「うぎゃっ!だ、誰?!」


「えー、桃わかんないの?僕だよ、桃の愛しのあっくんだよー」


そう言って、あっくんはさっきよりも抱き締める力を強くした。


「あ、あっくん?!なにしてんの!」


「桃を抱き締めてるんだよ」


「そーゆうの、いいから!早く離れて~!」


「やだ」


オイ。


やだじゃねーよ、やだじゃ。


離れてくんないと仕事ができないじゃんかあ~!!