「……はぁ~あっくん来ないかなぁ」
「来るわけないだろ。今一応授業中なんだぞ」
蓮が少しムスッとした顔で言う。
やっぱり?あたしがそう言おうとした時、ドアが開いた。
ガラッ
誰かが中に入って来る。
そして、
「呼んだ、桃」
あっくんがいつもの無表情であたしの顔を覗きこんだ。
「っ、あっくん!?」
「お、お前、なんでここにいんだよ!」
蓮があたしよりも慌てた様子で、あたしからあっくんを離す。
「桃、僕のこと呼んだでしょ。どうしたの?」
蓮の疑問はあっくんに流された。
蓮は流されたことに若干イラッと来たのか、あっくんをものすごい勢いで睨んでいる。
あっくんは睨まれているにもかかわらず、蓮に無視を決め込んでいた。
……度胸あるな…あっくん。
あたしは蓮とあっくんの仲の悪さに呆れながら、無視を決め込むあっくんをちょっとだけスゴいと思った。
絶対にあたしじゃあんな素晴らしく見ている方が逆にいたたまれなくなるほどの無視を決め込むことはできないと思うから。
なんだか少しだけ蓮が可哀想に思えた。


