「やめろよな、男装バラそうとすんの」
「あー、分かった分かった」
絶対分かってないだろ。
テキトーに返事をする蓮を見て、はあとため息をつく。
「分かったならもういい。お前と話すと疲れる」
「は!?なんだよ、ソレ!」
「そのまんまの意味だけど」
くっ……と蓮が黙る。
ふん。何も言えないんだから、黙ってればいいんだよ。
あたしが蓮を連れてきたこの場所は、いつもの空き教室。
ここって、全然人来ないから、すっごく居心地いいの。それに、ここなら先生も来ないし、男装のことを大声で蓮と喋ってても平気なの。
だからあたしはよくここに来る。
……蓮も、だけどね。
あ、あとあっくんも最近よく来るんだ。
なんでか知らないけど、あたしがここに来ようとすると、あっくんもついてくるの。
なんか、あたしと蓮が二人っていうのが嫌みたい。
よく分かんないよね。
まあ、あたしも蓮が好きなわけじゃないから、あっくんが来てくれるとうれしいんだけど。


