「……私の告白を断るなんてあり得ない。……どんな男でも、オレのことをフる奴なんかいなかったのに……」

「は?」

神宮の声が小さすぎて聞き取れなかった。

だけど、フラれて傷付いているわけではなさそうだった。
……神宮の顔が少し、笑っていたから。

「今日のところは勘弁してあげるわ、天野 桃」

上から目線でそう言うと、
神宮は満足そうに自分の席へと戻って行った。

「……何なのアイツ」

あたしはボソッと呟くと、
次の授業の準備を始めた。




この時のあたしはまだ知らなかった。

アイツの―――、
神宮の本当の姿を。