クリスタル

「お前…。こんな場所でそんな行動したら襲われるぞ?」

「は?」

襲われる?私が?
ありえないよ。

「何で?」

「何でって…。お前、自覚無しなのか?」

「意味不明ですから。」

何時の間にか光輝は私の隣に座ってるし。
自覚って何の話?
だって、見とれてるのは燐でしょ?

「俺がこんなこというのほとんど無いからな?…お前、美人だから。」

「は?眼科連れて行きましょうか?」

この店は客も店員も皆目が腐ってるんだな。
後で店先に眼科行けっていうチラシ張っておこう。

「…やっぱり、自覚無し、か…。」

光輝は疲れたように肩を落とす。
全く、意味が分らない。

「全く意味が分らないんだけど。」

怪訝そうな顔をする私の頭を光輝はくしゃりと撫でた。
…なんだろ、少し照れるかも。

「自覚無しってのも面白いしな。いいよ、分らなくて。俺が分からせてやる。」

はぁ?
何ほざいてるの、このヒト。
私は軽く首をかしげた。

そんなこんなで始めての飲み屋は終わり。
私は周りからの目にムカつきながらも店を後にした。